続・ウィーン愛憎―ヨーロッパ、家族、そして私 (中公新書)



続・ウィーン愛憎―ヨーロッパ、家族、そして私 (中公新書)
続・ウィーン愛憎―ヨーロッパ、家族、そして私 (中公新書)

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相変わらずだな?

大学時代、三年ほど著者の講義にでて、よい意味でも悪い意味でも甚大な影響を受けた。もう影響を避けたいと思いしばらく読んでいなかったが、あの名著『ウィーン愛憎』の続きとあって読んでみた。

約20年前と現在(2004年)とでのウィーンの変化の描写が興味深かった。「古きよきウィーン」の格式が失われ国際都市化してきている、騒音が増している(著者は騒音反対でも有名)、人が他人を注意しなくなっている(老人に席を譲らなくてもだれも注意しない)、かつての日本への偏見はなくなってきている(向こうではいまや「ヤパノロギー(日本学)」が人気の学科なのだそうで、禅などの授業も盛況らしい。最近はウィーンの人はヨーロッパ中心主義に強く自己批判を行っているそうだ。だが著者は、ヨーロッパ中心主義ではいけないという考えをヨーロッパ外の人にも「強いて」いるのは、皮肉ながらヨーロッパ中心主義の究極の形だと正当にも指摘している)。

『ウィーン愛憎』での苦難の留学記と比較して言えば、本書は大学に職を得た著者の社会的成功後の話だから、随所に幸福感はみられる。しかしながら、家族でさえ自分に踏み込んでくることを拒む姿勢など、著者の強い個性により、家庭は崩壊に近い状態らしく、一面で不幸極まりないようだ。

過去の著書でも虚栄に満ちた母への憎しみなどを赤裸々に書いていたが、今回は家族の不和をまるで包み隠さず書いており、書かれる側としては相当不快であろう。が、これはよほどの「覚悟」がいることである。著者のこうした嘘のない姿勢が、特殊な意味での人気を保っているゆえんであろう。

しかしまあ……。「相変わらずとんでもない人である」という思いを新たにした。

続編だと期待してはいけない

かつて前著「ウィーン愛憎」において西洋と格闘した哲学徒も、時を経て、ついには私小説の世界に堕するのかと同じ日本人として暗澹たる気持ちにさせられてしまう。
その面では読む価値があるも、さて著者の公費でのウィーン漫遊記にわざわざ付き合う必要も無いのではというのが読後の実感。
続編希望!

闘う哲学者一家のその後はどうなっていくのでしょうか。
さらなる続編が楽しみです!
凄まじいヨーロッパ精神

〜 この「ウィーン愛憎ーヨーロッパ精神との格闘ー」を読ませていただいたのですが、私は、一言「唖然」としか言えませんでした。私は海外生活の経験がないので、ヨーロッパについてはほとんど日本で手に入る情報しか知りませんでした。しかし、ことの著書を読んだ後、私のヨーロッパに対する見方が180度変わりました。想像していたウィーンとは違うのであり、〜〜ウィーンの人はかくも頑固なのかと思い知らされました。とにかく、著書に記されている通り、著者は凄まじいウィーン生活をしていたということが具体的に著述されており、非常に理解のしやすいものです。このような具体的な体験が書かれているものは、他の抽象的なイメージの西欧解説の類ではわからないところがあります。さらに、その中にも哲学的な見方や思〜〜考法が含まれており、かなり味わいがあります。日本にいてはわからないヨーロッパ精神を本の中で疑似体験できたので日本人との有様の違いを比較するのに役立つ人間学です。〜
まさに愛憎一体のウィーン論

二度目の留学を果たした著者をまちかまえていたのは、変容した古都、ウィーンだった。もはや、ウィーンは静かな町ではなく、あらかじめ録音されたメッセージが公共交通でもうるさく聞こえるただの大都会に変容していた。ここでは若者が老人に座席を譲ることもなくなったと、実体験をふくまえて著者は述べる。筆者は、ここで古いヨーロッパにモデルを求める親ヨーロッパ派、あるいは進歩主義者にするどい批判を加える。そのようなユーロッパはもはや存在しないと。二度目の留学ということもあり、奥様のことやお子さんの教育のことがたびたび話題になっている。全体としてほろ苦い印象が残る好エッセイ。



中央公論新社
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